ババアとネコと、時々オカマ

アメリカ西海岸から、日本のみなさんに不満と愚痴と文句を届けたい。

大家のババアの濡れ場問題③

大家のBBAの特徴

ブログを読んでいただいた方から、大家のBBA(56)・店子のBBA(55)の顔が見たいというリクエストを頂いた。でも、残念ながらそれは困難である。私もこの家に長く住み続けたいし、愛しいBBA達の繊細な心を傷つける訳にもいかない。

でも、大家のBBAの顔と髪型は極めて理解してもらいやすい特徴がある。キャラクターの「ポムポムプリン」にそっくりなのだ。「ポムポムプリン」が老化して、ちょっと捻くれてしまったらきっとこんな感じだろうと想像していただければ間違いは無い。

 

ちなみに、大家のBBAはバリキャリOLであることをここに記しておく。大企業でカウンセラーをやりながら家賃収入を得ているのだから、懐は暖かいと思う。入居当日、BBAは私の目を見て言った。

 

「私のね、店子を見抜く目は確かなのよ。みんな、耳を揃えてお金を払うの。その人の目を見たら確かなのよ。」

 

私はその時、彼女の目の前に私の貯金通帳の残高と奨学金の収入明細を広げていたのだから、私がお金に(今は)困っていないことは、私の目を見なくても自明であっただろう。

 

ちなみに、この家には大家の家族写真が所狭しと飾ってある。大家と大家の旦那と思われる人(中東系の黒髪髭もじゃ風)、それから息子の三人である。大家は一度、息子が近くの大都市でバーテンをしていると話してくれたことはあるが、旦那の存在に言及したことは一度もない。そして、こちらから聞くなどという野暮なこともまたしないのである。

大家の元彼、登場

そんなある日、学校で太陽の下のんびりと本を読んでいると、大家から一通のメールが届いた。

 

「今日の午後、私の元彼が家の窓拭き掃除に来るんだけど、いいかしら?家に帰ってきて、男の人がいてもびっくりしないでね。ちなみに、私の元彼は金髪のハゲよ。」

 

もう一度メールを読み返すと、いくつか疑問が湧いて来る。まず、何故、元カレが元カノの家の窓拭き掃除をわざわざしに来るのだろうか。そして、元彼は(元?)旦那とは明らかに違う人物であり、大家の恋愛はどのような時系列で発展したのだろうか。そして元彼とは完全に友達に戻ったのだろうか。そして、ハゲなのに髪の色が明記されるとはこれ如何に。もはや本を読んでいる場合ではないのである。

私は、気が急いて普段より心持ち早めに我が家に戻ってしまった。

するとリビングルームには案の定、大柄な男がいて、せっせと窓の掃除をしていた。私はフレンドリーさを醸し出し、話しかける。

男が振り返ると、なんと髪色は確かに金髪で、髪型は波平さんスタイルであった。簡単な挨拶は交わしたものの、私は疑問の一つが解消したことに喜びを覚えて、早々と自分の部屋に引き上げてしまった。

大家の濡れ場

それからしばらくして、私は夕食の準備に取り掛かろうとした。夕食の準備といっても、大家からはあまりキッチンを使うなという厳命が出ているので、スーパーで買った肉をレンジでチンし、これまたスーパーで買ったサラダを皿に盛り付ける程度のものであるが。私は店子のババアが留守であることに気分を良くし、鼻歌を歌いながらレンチンしていると、コツコツ、と裏庭の方から音がした。

ネコである。このネコは家の中と外を昼夜往復しているのだが、自分でダイニングと裏庭を繋ぐガラスの扉を開けることができない。そこで、ガラスの外から物欲しげに人間に媚を売り、ドアを開けてもらうのである。私も、この家の新参者であるからにはネコのリクエストを無視する訳にはいかず、快くドアを開けてネコを迎え入れようとした。

しかし、ドアを開けたその瞬間、とてもまずい状況に気がついてしまう。大家と、元彼の声がするのである。そして、一部見えるバスタブの蓋がオープンされているのである。

 

濡れ場や!濡れ場や!そう一瞬で悟った私は、ネコを滑り込ませた後、何も見なかったふりをして扉を静かに閉め、鍵を閉めた。心にも鍵をかけ、最近読んだマインドフルネスの本を思い出し、「いま、ここ」の夕食に集中することを心がけたのである。

後処理

その後、事後の大家のBBAと大家の元彼とは顔を合わせまいとしていたのだが、リンゴを洗おうとしたついでに大家に呼び止められてしまう。

 

BBA「あんた、さっきドアの鍵を閉めたでしょう?」

私「閉めました…」

BBA「あんたのせいで、全裸で外で締め出されるところだったでしょうよ。合鍵があったから良かったようなものの。なんでそんなことしたのよ!?」

私「ネ、ネコ…ネコ…」

BBA「あのクソネコめっ!!!」

 

BBAの怒りは何故かネコに転嫁され、私は難を逃れたようであった。思えばドアの鍵を締めれば2人を裏庭に締め出すことになるのは自明のことなのだが、ネコを外に逃した後も施錠を忘れないように大家から念押しされていたので、そこまで気が回らなかったのである。というよりも、アメリカ到着以来最大の修羅場を迎え、気が動転してしまっていた。だって、いくら自由がモットーの西海岸とはいえ、西部開拓団もびっくりの光景だったと思いますよ。

 

大家の元彼も気まずさからか、会話が気ごちない。

 

大家の元彼「おい、俺は日本のことなんでも知ってるんだぞ!」

私「な、なんすか…」

大家の元彼「中日ドラゴンズ!!!」

 

何故名古屋に行ったこともないのに中日ドラゴンズなのか、しかもよりによって私の苦手なノンケおじさん御用達の野球トピックス。しかも本人に聞いても、中日ドラゴンズ以外の情報が何も出てこない。分かるよ、気まずいから何か会話を繋ぎたいよね。でも、中日ドラゴンズだけじゃこっちも拾えないって。。。 

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濡れ場でも修羅場でも、ネコは素知らぬ顔である